あかあしの足跡

自らの目で見た映画を独断と偏見でぶった斬るブログ!たまに映画以外に漫画も

エル ELLE

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2017年 ‧ ドラマ/クライム ‧ 2時間 10分

レイプ被害にあった女性が犯人を探し出そうとする姿を描くといった内容。


サスペンスかホラー系で怖い作品なのかと思いきや、いい意味で裏切られ、特に掴みである冒頭シーンで主人公のミシェルが暴漢に襲われた後のふつうなら胸糞悪く気まずい雰囲気が流れるのかと思いきや、ミシェルの行動はとてつもなく冷静で警察にも通報もせず、次の日何も無かったかのように会社に出勤する姿にはアレっ?という違和感が拭えなく、物語が進むにつれ、どんどん斜め上をいく行動をし、犯人を探りながらも通常のサスペンスや復讐ものとは違い、危ういバランスで突き進んでいくミシェルの多面性は見る側には不純ともみられ、道徳心がないとかキツイ人には厳しいとか言われそうなぐらい、一見理解しがたい行為や行動に過去に起きた出来事が関与していたりとした背景など、特に物語上でミシェルの内面が描かれないのもまた、リアリティを感じさせられ不安に駆られるかのような、人間の尊厳を問われるかのような、自分の今までの常識や倫理、哲学を覆すかのような行動と思考、生き方は特に後半は拍車をかけてくる展開は見応え充分で、お決まりの定義をぶち壊す、それが当たり前と思わせるかのような、ロールモデルを線引きをしたがる世界に警告を促しているようでハンマーで頭を打たれたかのような衝撃をうけたようなポール・ヴァーホーベン監督と主人公イザベル・ユペールは見事であり、とてつもなく余韻が残る作品であった。