あかあしの足跡

自らの目で見た映画を独断と偏見でぶった斬るブログ!たまに映画以外に漫画も

アンダー・ユア・ベッド

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2019年 ‧ ホラー ‧ 1時間 38分

前に予告で見て以来、観たい観たいと思い何度か映画館に足を運ぶも満席であったりとしたが、やっと見ることができた!


10年前の学生時代に一度名前を呼ばれ、珈琲を飲んだことがある憧れの女性に異常な執着を持ち、それを生きる糧としてきたストーカーで主人公の三井。


ストーカーという普通なら気持ち悪いと思ってしまうのだが、親からの愛は知らず、卒業アルバムの集合写真にさえ写っていないことさえ誰にも気づいてもらえず、石の裏に誰にも知られず蠢く生き物と同じという、存在感のない主人公の姿を見て、とても切なくなった。


ストーカーの主人公と、憧れていた彼女、個々の人間の歩んできた人生や、性格が絡み合い形成されていく物語には引き込まれた。特に衝撃的な連続であった、彼女の夫からのDVや性的暴力描写は終始目を背けたくなる様なシーンの連続にもうやめてくれと言わんばかりの悲惨さ、そして当時の明るく魅力的であった彼女の変わりきった死んだ魚の目のような姿もかなりインパクトがあり


この役を体当たりな演技で演じきった西川可奈子さんには拍手を送りたくなったほどの圧倒的な演技に惹かれ、普通ならキモイで終わるストーカー役を演じた主人公の三井の高良健吾も独特な雰囲気と暗さを持ち合わせるが、キモイで終わらない演技にも惹かれた!多分、これは高良健吾だから出来る役なのであって、普通に太った禿げたオッサンの容姿とかだったら、ただ単に本当にキモく感情移入以前に不快だったのかとも思えた(笑)そして、夫役で常に暴言や暴力の連続を奮うクズ役には、ガチ星でこれまたクズ役を演じた安部賢一という見事なキャスティングにも納得がいった。


夫と対象的な主人公の性格や行動も対になっておりバランスも取れていたと思った。終盤は少し急展開で若干おざなりとストックホルム的な流れではあったが、ラストはとても切ない余韻で少し救われる気持ちになり、主人公の彼女に対する究極の片思いからなる純愛なる偏愛を垣間見た様な気がした作品である。