あかあしの足跡

自らの目で見た映画を独断と偏見でぶった斬るブログ!たまに映画以外に漫画も

路上のソリスト

f:id:anmitunradio:20181213220923j:image

2009年 ‧ ドラマ/ミュージカルドラマ ‧ 1時間 57分

路上で暮らす男、ナサニエル。 彼はかつて天才と呼ばれたチェリスト。 LAタイムズの記者が迫った実在の音楽家の物語とは...


自暴自棄になっていた記者・スティーブが偶然にも癒しの音色を奏でるホームレスでチェリストナサニエル。と出会い是非ともこんな素晴らしい演奏をする人物をこんな所で埋もれさせちゃいけない、この才能を他の人にも知って貰いたい脚光を浴びる権利と、彼にはそれに見合う才能がある。っと勝手に使命感に囚われ暴走!普通なら、ここから感動展開、はいキターと思うところだが、実話のためそんなドラマチックな展望とはいかないのが現実なのである(笑)


当の本人ナサニエルにとっては、いい迷惑であり。彼はある精神的な病を抱え、大勢の前等で演奏となんてもってのほか、スティーブの善意も苦痛でしかなく、当初は何故ここまでしてやったんだと善意の押し売りで憤怒するスティーブも、彼の事情を知り反省とそして更に苦悩することになる。


罪滅ぼしではないがスティーブがナサニエルに対して出した答えとは?ラストはあっさりしているものの、それがナサニエルにとっての楽園であり居場所なんだと、彼がそこで演奏するだけで、それだけで十分に幸せなように見えた姿は印象的であった。


日本のことわざにもあるようにも、親しき仲にも礼儀ありという言葉。人との価値観や自分の考えの枠組みに無理やりハメこもうとする人。心の在り方や人との距離を改めて考えさせられる作品である。

21グラム

f:id:anmitunradio:20181213221341j:image

2003年 ‧ ドラマ/クライム ‧ 2時間 4分

1つの交通事故から連鎖する数奇な運命が3人の人生を狂わせ交差させていく人間ドラマ。現代社会やその裏に見え隠れする犯罪や事故、幸先の見えない経済や暗闇に閉ざされ不安ばかりが蔓延する今の世の中に対して訴えかけたかのような重たいテーマと世界観とタイトルの21gという人間の命の重さが下地になっている。


名優ショーン・ペンベニチオ・デル・トロナオミ・ワッツの演技の三重奏は見ていて圧倒されるばかり。特に、終始何処か儚げで悲しい目をしたショーン・ペンの存在感と自然体の演技はには圧巻で鳥肌がたった。


物語は一貫して暗く救いはなくこれでもかと負の連鎖とやるせない想いに見ている側までもが苛まれそうになる世界観は恰も現実的でリアルで流石「アモーレス・ペレス」「バベル」等。カタルシスを描かせたらピカイチの監督イニャリトゥの手腕も見所の1つである。全く交わりのなかった3人の運命がひとつに引き寄せられ、重なりあった瞬間、21gの本当の意味が明らかにされ、見終わった後は余韻とカタルシスに酔いしれるであろう。

マンチェスター・バイ・ザ・シー

f:id:anmitunradio:20181213221119j:image

2016年 ‧ ドラマ ‧ 2時間 17分

兄の死を機に故郷に帰って来たリーは、兄の遺言で16歳の甥・パトリックの後見人となる。リーは過去の悲劇と向き合い、パトリックと共に新たな一歩を踏み出そうとする。


兄の死を機に過去を引きずり戻りたくなかった田舎に戻り、残された甥っ子と過ごす中で自らを見つめ直し再生していくかのような希望ある展開なのかと思いきや!?...ストーリーが進んでいくにつれ。主人公リーが多々、無気力でちょっとした事で言動が粗野になったり過去の悲劇から苦悩するのも向き合おうともせずに、最後まで背を向ける姿勢と自己中心な性格に感情移入は出来なく、個人的に人間としてもかなり嫌いなタイプで感情移入もくそもなかった(汗) 


リーの心象風景を表すかのような田舎町の景観シーンはなかなか良かったが、長々と続く回想シーンは間延びしてテンポがかなり悪くなっていた感じもした。そして他の登場人物がみんなどこか影を持っているかのように全体的に暗く、この作品はまさに主人公(リー)の目線で映された世界観という感覚で描いているかのようにも感じたのもあってか、甥のパトリックに関してや他を含むラストのまあ~安易に正解を描かなかった点としては評価できるポイントでリアルであるように思えたが


見終わった後の何ともいえないお葬式の後のような、みんながみんな不幸でいたたまれい、自分的にはかなりフラストレーションがたまる作品であった。どこかに救いがあるかと期待をすると、足元をすくわれかねないパターンの内容で、かなり好みがハッキリと分かれる映画で自分は見事に足元をすくわれてしまった(笑)

レディ・バード

f:id:anmitunradio:20181213220714j:image

2018年 ‧ ドラマ/コメディー・ドラマ ‧ 1時間 35分

カリフォルニア州サクラメントの片田舎で生活している女子高校生が、さまざまなことに悩みながら成長していく姿を映した青春映画。


狙ったわけでもなく偶然にも「スウィート17モンスター」と同時に見たのもあってかこじらせ女子2本続けてだったのは吃驚(笑) 自称"レディ・バード"と呼ばせてる既にこじらせてる主人公のクリスティン。どこかで見たと思ったら、ラブリーボーンに出てた子役でこれまた吃驚!


閉鎖的な田舎でカトリック系高校を舞台に多感な17歳という年頃を謳歌する、レディ・バードの姿を描いており、友情に恋愛、家族関係等。監督が自伝的要素を取り入れながら手掛けたただけあり、人間模様もかなり丁寧に描かれ、バイト先に偶然を装って来た元彼を理解し抱きしめるシーンや喧嘩してた親友とプロムで仲直りして2人で写真を撮る場面やなんかはかなり主人公の人柄やキャラクター性が出てて好きであった。女性目線的な世界観もかなり興味深く特に、冒頭から始まる娘と母親のシーンで分かるように親子(娘と母)との関係性がかなり色濃く主軸になっており、ある展開で上手い具合に娘と母親が対になってる場面でやっぱり親子で似た者同士だと分かるような演出やなんかはとても好感が持てた。


最後、主人公が本名名乗ったのも成長のあらわれか?成長してないかの大人と子供の中間的な粋な演出も面白く良かった(笑) 「スウィート17モンスター」同様に青春のほろ苦さや痛みなんかもリアルに描いてて、痛いけど精一杯生きているんだと、実感させられる作品である。

きみに読む物語

f:id:anmitunradio:20181213220024j:image

2004年 ‧ ドラマ/ロマンス ‧ 2時間 4分

身分の差により両親に引き裂かれながらも、初恋を一途に生涯貫き通す極上の純愛ラブストーリーでセピア色のイメージカラーが似合いそうな世界観であり


話はベタだがそれがいいといわんが如くの情熱的に惹かれ合っていく主演の2人の演技は本当に素晴らしいこと、青春時代は時おり「ラ・ラ・ランド」とリンクすると思いきや、ノア役をライアン・ゴズリングだったのをすっかりと忘れていた(笑)


運命の悪戯によって離れ離れになりながらも、7年間ずっとただ一人の為に自分の人生をあそこまでかけれるノアの姿は切ないながらに共感してしまうところもあり、かなりウルッときてしまった。報われないとしても、それでも諦めない心と真実の愛。


終盤紆余曲折を経て再びお互いの運命が交差した瞬間の雪解けのような感情の解放、そしてラストで紐解かれる愛の行方が明かされた時には耐えていたが、号泣は必死であった。


時代背景から、演出、キャストも見事であり、最初はCMで泣ける感動したとのふれこみで、ハードルを無駄に上げるのはよしてくれと思っていたが楽々とハードルを飛び越えて感動が込み上げてくるかのような作品で、見終わった後のジワーっとバブのお風呂で染み込んでくるかの余韻にはしばらくは浸っていたいと素直に良作と呼べる作品である。

プライドと偏見

f:id:anmitunradio:20181213215814j:image

2005年 ‧ ドラマ/ロマンス ‧ 2時間 15分

イギリスの女流作家ジェーン・オースティンの原作を、キーラ・ナイトレイを主演に迎えて映画化した文芸ラブ・ストーリー 18世紀末のイギリスの田舎町を舞台に、5人姉妹の恋の行方を綴る。


古き良き時代のブリティッシュらしさを感じさせてくれる作品で、過去に何回も映画化されたことだけあり、英国の美しい風景をバックに展開する。シリアスで時にコミカルでもどかしいような甘酸っぱい恋愛模様。出演のキーラ・ナイトレイマシュー・マクファディンの関係性やなんかも、最初は"傲慢と偏見"その後は見事に"偏見とプライド"というタイトルが示し合わすかのように展開して変化する心模様と理解し合い成長してく様と、ラストだらしない格好の2人を照らす草原での朝焼けのシーンは特に物語の中でも美しく印象に残る場面であった。


キーラの絶世の美しさと、劇中に時折みせるどこかで寂しげな感情の変化なんかも上手く表現していてまさにキーラ・ナイトレイにベストマッチした作品のようにも感じた。5姉妹もみな個性や性格がバラバラだったのもおもしろく、キーラと姉との関係も素敵で同じベッドで恋の話をする2人の姿はまさに恋する乙女で微笑ましかったな(笑)


舞踏会でのダンスシーンでの駆け引きや、各登場人物の心情の交差や恋の行方やなんかも躍動感に満ちており、監督が「ウィンストン・チャーチル」と「路上のソリスト」を撮ってたのはちょっと驚いた!どれも人間ドラマがイメージとして強い作品だけあり、この作品でも家族や姉妹、友人や周りとの関係性やなんかも絶妙なバランスで描いていたので納得。時代背景や当時の服装から建物まで色とりどりと豪華絢爛で丁寧に描かれており見終わったあとは、幸せな気持ちになれる作品である。

タクシー運転手 約束は海を越えて

f:id:anmitunradio:20181203231918j:image

2018年 ‧ ドラマ/アクション ‧ 2時間 17分

冒頭で"この物語は真実である"と表示され通り。1980年5月。韓国現代史上、最大の悲劇となった光州事件を舞台にドイツ人記者と彼を乗せたタクシー運転手との実話を元にした物語


タクシー運転手演じる、ソン・ガホンのいかにも頼りなく借金ありのダメ親父っぷりは板についており、たまたま儲かる話を聞き、外国人を光州まで乗せるだけで大金が手に入るという甘い考えが災いするとは露知らず(笑)前半はそれこそ運転手と外国人記者のギクシャクしたやり取りで、コミカルに進んで行くが


中盤から雲行きは一気に怪しくなりはじめ、ここから物語は佳境に。80年代はまだ軍の横暴が当たり前のようで一般市民に向かって発砲や市民を反政府運動のテロリストとでっち上げ内部情勢も隠蔽でマスコミもシャットアウトといった状況下で外部に情報を漏洩を許さず、軍が実質実権を握っていて民主化もないような無法地帯、普通に暮らしていただけの学生や市民を虫けらや家畜を扱うかのような場面等は見ていて同じ人間とはいえよくここまで残忍になれるなと改めて人間の醜さと胸糞さを感じさせられた。


当初はお金に目がくらんでるいたタクシー運転手が光州の人達の人間味や優しさに触れ、故郷に残してきた娘を想うシーンはウルっときたもので、1人ソウルに戻る中で葛藤する場面は印象的、逆境に立ち向かう姿は恰も今までダメだった自分を脱却するかのようで後半から終盤にかけては息をつく暇もないほどに激しいカーチェイスありきの緊迫感と絶望感が背中合わせのスリリングさに手には汗がビッチョリ!


ラストまで上手くいくのかハラハラさせられ、最後はベタであったが如何にこの出来事が後の韓国発展への足掛けになったかは計り知れず、タクシー運転手と外国人記者の必然とも言える関係性も物語上でとてもいい味を出しており、イデオロギーを越えた大切な何かを教えてもらった気がした。