21グラム
2003年 ‧ ドラマ/クライム ‧ 2時間 4分
1つの交通事故から連鎖する数奇な運命が3人の人生を狂わせ交差させていく人間ドラマ。現代社会やその裏に見え隠れする犯罪や事故、幸先の見えない経済や暗闇に閉ざされ不安ばかりが蔓延する今の世の中に対して訴えかけたかのような重たいテーマと世界観とタイトルの21gという人間の命の重さが下地になっている。
名優ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、ナオミ・ワッツの演技の三重奏は見ていて圧倒されるばかり。特に、終始何処か儚げで悲しい目をしたショーン・ペンの存在感と自然体の演技はには圧巻で鳥肌がたった。
物語は一貫して暗く救いはなくこれでもかと負の連鎖とやるせない想いに見ている側までもが苛まれそうになる世界観は恰も現実的でリアルで流石「アモーレス・ペレス」「バベル」等。カタルシスを描かせたらピカイチの監督イニャリトゥの手腕も見所の1つである。全く交わりのなかった3人の運命がひとつに引き寄せられ、重なりあった瞬間、21gの本当の意味が明らかにされ、見終わった後は余韻とカタルシスに酔いしれるであろう。