あかあしの足跡

自らの目で見た映画を独断と偏見でぶった斬るブログ!たまに映画以外に漫画も

25時

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2002年 ‧ ドラマ/クライムフィクション ‧ 2時間 15分

麻薬ディーラーのモンティは、何者かの密告で25時間後には7年の服役のために収監される。最後の夜を明かそうと2人の親友を誘う。また一方で、恋人が密告者ではないかと疑惑を募らせるモンティ。こうして、彼の最後の夜が始まった…。

これぞヒューマンドラマだと言える作品であった。特に後悔に苛まれ葛藤するモンティを演じるエドワード・ノートンは本当にうまい。そして周りの人間関係等、友人や恋人の存在。密告、裏切りとの疑心暗鬼や麻薬の存在を知りながら止められなく罪悪感を背負う心理描写。親子関係、父親の運転する車で刑務所に向かうモンティ。父が息子に対して思う言葉や優しさは見ていて辛く痛かった。

時は長く短い。。。残された時間の中で人は何を感じ何を残し、どんな想いでその瞬間を迎えるのか、色々と考え感じさせられる重い一本であった。

ミスミソウ

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2018年 ‧ ホラー/サスペンス ‧ 1時間 52分

よくぞ、ここまで見事に原作を忠実に再現してくれたと、正直嬉しく、そして!驚いた(笑) 


田舎特有の閉塞感や重くどろどろとした陰湿で壮絶な虐めからの、主人公の崩壊する感情の爆発はある意味、スカッとさせられ


各登場人物の下地にある家庭環境やトラウマ、心理描写、思春期特有の心情などを含む憎しみ、恨み、憎悪、歪んだ愛情や嫉妬諸々が混じり合い救いようのない展開へと発展していき、それすらも全てを包み隠すかのように降り積もる真っ白な雪と血のコントラストは印象的で最後まで息つく暇もないほどに圧巻であった。


しかし、しかし!原作好きの自分としても映画は申し分なかったくらいに素晴らしい出来だったのだが、欲を言えばラストは漫画の方が好きだった為に、雪が溶け春の息吹が全てが終わった後の安らぎある感じと寂しげな表情のおじいちゃんと桜の映像を見たかったな。久しぶりに原作を読み返したくなった。

それぞれの空に

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2008年 ‧ コメディー・ドラマ/自主映画 ‧ 1時間 55分

イラク戦争で一時的に、1ヶ月の休暇をアメリカで過ごすため帰還した兵士のチーバー。コリー。TK。偶然空港で出会った見ず知らずの3人だが、飛行機がトラブルで飛ばなくなった事から、3人は一緒に車でそれぞれの目的地に


予備知識なし、タイトルに惹かれ鑑賞。

シリアス作品かと思いきや、そうではなくコミカルな音楽に、3人の旅を描いたロードムービー


特にストーリーにも起承転結という訳でもなくて、ごく自然な3人のプライベートな苦悩をユーモアを交えつつ進行し、個性的で自然体なキャラクターや絶妙なやり取りやコンビネーションは見てて心地が良く!内容的に重かったりするシーンや展開も軽快かつユーモラスに描いていたりと、テンポよく途中飽きることなく不思議とどんどん引き込まれる世界観と道中車から見えるアメリカの景色や風景など広大な自然もしっかりと堪能できたり、音楽もまた素晴らしく物語に合うような気軽に見れる雰囲気を醸し出していた。


終盤は現状での米国を皮肉る様な粋な演出もあったりと、マイナーな作品ながらラストは哀愁ある爽やかな終わりかたと、タイトルの「それぞれの空に」の意味が込められた作品となっており、見たあと余韻に浸れる良作であった。

ヘレディタリー/継承

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2018年 ‧ ドラマ/スリラー ‧ 2時間 7分

昨年、宇多丸さんの週刊映画時評と年間ランキングで1位を獲得した作品であり映画館でも見たかったが、いつもの理由で見れずトホホとレンタルでやっとの思いで鑑賞!

家長である祖母を亡くしたグラハム家、その日を境に怪奇現象が起こるようなになり、次第に家族が抱えてきた闇が腐敗し崩壊していく姿を描いたダークホームドラマ

序盤から感じ取られる、終始見ている側の感覚を煽るかのような不穏な音楽や空気感や演出の世界観作りが兎に角ズバ抜けて不気味で祖母の死をキッカケに徐々に魔の手がグラハム家に迫り、ついにその瞬間は自分的にも、この物語で1番の最高潮であり、ジェットコースターの到達点から一気に駆け下るかのような衝撃を受けた!そこまではもう、本当に素晴らしく完璧でここ10年でダントツと呼ばれるのも頷け、そこは確かであった。

そして、本格的にここからが更なる地獄への序章に過ぎなかった事に気が付いた時には時既に遅し、ホラーからサスペンスの流れとなり、途中意図的に移される独特なカメラアングルや劇中に登場するミニュチュアセットが現実との境をあやふやにするかのような働きをし、何とも不可思議な世界に導かれ不思議の国のアリスの世界に迷い込んだかの様な錯覚にも囚われ、自分は一体全体何を見せられ、これからどこに連れていかれるのか?全くもって予想が出来なく、そしてこれでもかといわんが如くにグラハム家への呪いや泥沼、現状でいえばカオスという名の地獄の釜の中に落とされ身動きがとれぬ状況下には恐怖と憎悪すら感じ最悪に嫌な気持ちにさせられ、着地点としてオカルトよりではあったものの、キリスト教徒であった場合等を考えると確かに「現代版エクソシスト」だと言われ教徒達であった場合は更にプラスで恐怖倍増という図式にも納得であった。

全体を通し、キャストがかなりいいリアクションと演技をしており、主演のトニー・コレットの顔芸は恐怖心を煽る煽る(笑)娘役のミリー・シャピロの無表情でどこか影がある不気味さか、そして作り手の拘りも兎に角半端なく細やかに張り巡らされ計算された演出や伏線。タイトルやエンド曲に隠された意味など後から知るとなるほどっと関心したくなるピースが所狭しと散りばめられて、それを見つけるのも楽しみの一つかもしれない。

単なるホラー映画ではなく、家族もしっかりと下地となっているのも印象的で、本当に1度見ただけでは、到底理解や感覚が追いつかない放心状態にさせられたような世界観を持った深い深い作品であった。

ドラマ・「プロポーズ大作戦」

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映画だけでなく、たまにはドラマなんかも!

山P演じる主人公が片思いする女の子にしっかりと自分の気持ちを伝える為、時を遡りやり直すといった内容なのだが、過去に恋愛で同じような境遇にあった事もあってか、山P演じる主人公に自分を重ねてしまい後半はドラマで滅多に泣かない自分が山Pの新郎新婦に贈る時に伝えた言葉で思わず号泣してしまった。そして、ちょうど人生で迷っていた際に今も心のメモ帳にメモしている。「明日やろうは馬鹿野郎!」という名言とどんなに過去にタイムスリップ出来たとしても、未来を変える労力は生半可ではなく、今の自分が変えていかなければ未来は決して変わっていかないという指針とも言うべき考えを持たせてくれた想い入れが強い作品である。ちなみにスペシャル版は未だに見れておらず、前にレンタルで借りたのだが、肝心のDVDが擦り切れて読み込まず断念した思いもあり、そのうちスペシャル版を見て完全制覇したい所存である。

ゆれる

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2006年 ‧ ドラマ/クライム ‧ 2時間

母の一周忌で東京から帰省した猛(オダギリジョー)彼には実家のガソリンスタンドを継いだ独身の兄の稔(香川照之)や、そこで働く幼なじみの智恵子(真木よう子)と再会、3人で近くの渓谷に行くことにする。猛が単独行動している間に、稔と渓谷にかかる吊り橋の上にいた智恵子が転落する。

何処にでもありそうな日本の家族関係や兄弟の設定故にリアルで身近に感じ取れた作品であった。

親子、親友、恋人ではなく。兄弟という間柄、血は繋がっているが理解しているようで、実は理解してなく近くて遠いまるで、他人のような存在の2人の関係はまさに"ゆれる"というタイトルに相応しい設定や関係であり

身近で何処にでもありそうな世界故に妙にリアルで田舎特有の閉塞感や重くどろどろとした人間関係や感情やエゴなど様々な感情が混ざり合ってしまったかのようであり、かなり重いテーマであったが

主演のキャスト含め脇を固める役者達の力と演出は最後まで見応えありで、香川照之の演技とオダギリジョー2人の兄弟の間で揺れ動く感情を見事に描いており、切なすぎるラストに救いと許しはあったのだろうか?

この"ゆれる"というタイトル。見終わった後にジワジワくる余韻をあらわすに本当にその通りであり、実に上手いと関心してしまった。

ゴジラ対ヘドラ

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1971年 ‧ カルト映画/ホラー ‧ 1時間 31分

三大怪獣 地球最大の決戦」を借りる際に、実はまだ未見であったヘドラも一緒にレンタル。その昔から、その禍々しくおどろおどろしい圧倒的インパクト大のヴィジュアルに一目置いていた怪獣ヘドラ


まず冒頭から強烈なOPから始まる歌詞の「水銀 コバルト カドミュウム 汚れちまった海 汚れちまった空 かえせ かえせ」のまるで中原中也の「汚れちまった悲しみに」を思い起こすかのようなセンスとサイケデリックサウンドに驚愕!


ストーリーも当時の日本の社会的問題であった、公害がテーマとなっておりヘドラを生み出した人類への警告や社会風刺的描写から科学番組のように進化するヘドラを見事に解説をしてくれるわかり易さ等。今までのゴジラ作品では見たことがない展開でなかなか斬新かつ新鮮であった(笑)公害問題で思い出したのが円谷プロ繋がりでウルトラセブンの幻回と呼ばれた12話『スペル星人』ともなんだか繋がる部分を感じたものだ。


肝心のゴジラヘドラに対して大苦戦ヘドラの攻撃に全身大火傷の片目は潰れ腕は骨が見えるほどの苦戦を強いられ!正直、人類の協力がなければ負けてたんじゃないかと思うほどヘドラの強さは目立っておりゴジラシリーズでも一二を争う強さだったんじゃないかと?そして、この作品で空を飛んで逃げるヘドラを追い詰める為に放射熱線でゴジラが丸まり飛んで行く姿も見れたりとゴジラファンからしたらかなりレアな姿もあり、ラストは完膚なきまでにヘドラを叩きのめすこれまでの恨みを爆発させたかのようなゴジラの姿もこれまたはじめて見た気がしたものだ(笑)


何はともあれ今までのゴジラ作品とは毛色が違う異色作と呼ばれる所以も何となくだが分かる気がしたけれど、個人的にはかなり大好きで中毒性がある作品である事は間違いないと断言できる