あかあしの足跡

自らの目で見た映画を独断と偏見でぶった斬るブログ!たまに映画以外に漫画も

ヘレディタリー/継承

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2018年 ‧ ドラマ/スリラー ‧ 2時間 7分

昨年、宇多丸さんの週刊映画時評と年間ランキングで1位を獲得した作品であり映画館でも見たかったが、いつもの理由で見れずトホホとレンタルでやっとの思いで鑑賞!

家長である祖母を亡くしたグラハム家、その日を境に怪奇現象が起こるようなになり、次第に家族が抱えてきた闇が腐敗し崩壊していく姿を描いたダークホームドラマ

序盤から感じ取られる、終始見ている側の感覚を煽るかのような不穏な音楽や空気感や演出の世界観作りが兎に角ズバ抜けて不気味で祖母の死をキッカケに徐々に魔の手がグラハム家に迫り、ついにその瞬間は自分的にも、この物語で1番の最高潮であり、ジェットコースターの到達点から一気に駆け下るかのような衝撃を受けた!そこまではもう、本当に素晴らしく完璧でここ10年でダントツと呼ばれるのも頷け、そこは確かであった。

そして、本格的にここからが更なる地獄への序章に過ぎなかった事に気が付いた時には時既に遅し、ホラーからサスペンスの流れとなり、途中意図的に移される独特なカメラアングルや劇中に登場するミニュチュアセットが現実との境をあやふやにするかのような働きをし、何とも不可思議な世界に導かれ不思議の国のアリスの世界に迷い込んだかの様な錯覚にも囚われ、自分は一体全体何を見せられ、これからどこに連れていかれるのか?全くもって予想が出来なく、そしてこれでもかといわんが如くにグラハム家への呪いや泥沼、現状でいえばカオスという名の地獄の釜の中に落とされ身動きがとれぬ状況下には恐怖と憎悪すら感じ最悪に嫌な気持ちにさせられ、着地点としてオカルトよりではあったものの、キリスト教徒であった場合等を考えると確かに「現代版エクソシスト」だと言われ教徒達であった場合は更にプラスで恐怖倍増という図式にも納得であった。

全体を通し、キャストがかなりいいリアクションと演技をしており、主演のトニー・コレットの顔芸は恐怖心を煽る煽る(笑)娘役のミリー・シャピロの無表情でどこか影がある不気味さか、そして作り手の拘りも兎に角半端なく細やかに張り巡らされ計算された演出や伏線。タイトルやエンド曲に隠された意味など後から知るとなるほどっと関心したくなるピースが所狭しと散りばめられて、それを見つけるのも楽しみの一つかもしれない。

単なるホラー映画ではなく、家族もしっかりと下地となっているのも印象的で、本当に1度見ただけでは、到底理解や感覚が追いつかない放心状態にさせられたような世界観を持った深い深い作品であった。