あかあしの足跡

自らの目で見た映画を独断と偏見でぶった斬るブログ!たまに映画以外に漫画も

フリーソロ

f:id:anmitunradio:20190913133644j:image

2018年 ‧ スポーツ/ドキュメンタリー ‧ 1時間 40分

クライマーとして有名なアメリカのアレックス・オノルドのチャレンジに迫るドキュメンタリー。彼が安全装置などを使用せずに素手でクライミングする“フリーソロ”で、高さ1キロメートル近い岩肌に挑む姿を活写する。


人間の極限を見た気がした。ロープなしの無謀とも呼べるクライミング、終始手に汗握るその断崖絶壁を前にしたらいかに人間はちっぽけで、蟻に等しい存在とも感じさせられ、生か死か2つの答えを背負いながらも、生に対する執着は無いかのような、長くは生きようとしないスタンス、ただそこに壁があるからと、飽くなき想いと入念な準備でトライ&エラーの繰り返しを測り、ミリ単位という壁のくぼみやコースのクセを自らの身体に染み込ませ感覚で捉えていくシーンの1つ1つに手の汗が止まらなかった。クライミングに対する狂気さ。ピュアさが見る者の心を熱く滾らせ、ひたすらストイックに己の牙を磨く彼の姿は、彼が好きな日本の侍が真剣勝負をする様に気持ちを鞘に込めると言っていたのにもリンクし、常人には真似することが到底出来ない彼の生き様はまるで自分の力で自分の意志の力で人生を切り拓くかの様でその激しさ、狂おしさをここまで生きてきてすべて“自分”でわしづかみにしてきたモノなんだと感じさせられた。彼のルーツや恋人との関係も、ラスト20分のクライミングを見ると感情的になってしまい、息が詰まり、心臓の鼓動と目を背けるなと言わん姿には消えかけていた熱い何かが呼び覚まされ、冷めきった心に熱い何かが込み上げ、より深く生きるという当たり前の日常に対する考え方を改めて見つめ直してみたくなった。