あかあしの足跡

自らの目で見た映画を独断と偏見でぶった斬るブログ!たまに映画以外に漫画も

ガチ星

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2018年ドラマ/成長物語 ‧1時間45分

競輪発祥の地である福岡県の小倉を舞台に、元プロ野球選手の男が競輪に挑むさまを描く人間ドラマ。


つい最近、ファブルの監督ってことと前に劇場でみたかったが、上映館数が少なくて敢え無くレンタルまで待ったこの作品。


40手前の元プロ野球選手が人生のどん底から再起を図ろうとする物語なのだが、もう主人公がどうしようもないって程のダメ男で浴びるほどの煙草と酒、戦力外通知、失業、堕落の日々。離婚した息子の誕生日には誘惑に負けパチンコでオケラ状態等。自業自得で同情の余地もないのだが、ここまで問い詰められもうこれ以上はないからの!更に底の底まで堕ちていく主人公(濱島)にもう、これ以上はやめてあげてくれよと心の中で叫ぶほどの清々しいほどの崖っぷち瀬戸際ギリギリ断崖絶壁に立たされる濱島は、この映画のテーマとも言える人生の再起。きっと誰しもに共通するであろう、明日は我が身なんだぞと問われているかでかなり強烈だが自分にも思い当たる節があったりと照らし合わせて見ている自分もいて怖かった。


主人公濱島演じた、安部賢一のリアルなダメ男ぷりや、再起にもがき苦しみ泥臭くも喘ぐ姿には役者魂を感じずにはいられなかった。見終わった後には気になって調べたら、ご本人自身が元競輪選手であった事には驚いたが、あのリアルな競輪シーンを観れば納得であった。周りを取り囲む登場人物もみんなが魅力的であり、競輪学校で結果の出ない主人公を目の敵にするかの様に常に怒号を浴びせる鬼教官!プロになってある事で悩む濱島を何気に気にかけたり、競輪学校で唯一濱島を慕う同期や知人でラーメン屋のマスターなどみんな人間味溢れてて良かった。そして、競輪学校1の天才と呼ばれ、何かと濱島と因縁と明かせない過去背負ったライバルとして奮闘する久松とのやり取りも男の戦いで熱く印象的であった。


ダメであった自分自身を見つめ直し、徐々に奮起し再生して生まれ変わろうとしていく濱島の姿にはグッとこみ上げるものが確かにあり、最後にはあれほどダメで同情の余地もなかった濱島の生き様を見届け応援したいと思ってしまうほどに、ある種パワーを貰えるかのような作品であった。でも、終始見ている側はかなり精神的と体力を削られる位の映画なのでご用心を(笑)