あかあしの足跡

自らの目で見た映画を独断と偏見でぶった斬るブログ!たまに映画以外のことも

あさがくるまえに

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2017年 ‧ ドラマ ‧ 1時間 44分

交通事故に巻きこまれ、脳死と判定されたシモン。両親に医師からは蘇生の可能性はゼロである事を告げられ、更に心臓の移植を待つ患者の為に臓器の提供を求められるが、その時間の猶予は限られていた。


テーマ的に、命の尊厳について問いかけられるような作品であり「海を飛ぶ夢」とも類似している点が幾つかあったりもするのだが、本作から感じたのはよりリアリティあるドキュメンタリーのような作風のタッチと前半と後半"提供側と享受側"の人物を主軸と視点に描かれており、事故で、脳死状態になった青年と息子の臓器提供を委ねられる遺族。心臓病でドナー提供の心臓を貰って迄と逡巡する女性。2点からの視点は興味深かった。


どちらにも共通する"残された時間"という概念も含め、有無もいわさずに淡々と展開していく移植や事務的なシーンは、無機質ながらにもリアリティある演出と音楽が見事に合致し、これが現実だと思わせられるような感覚に一気に引き込まれた。臓器の手術で青年の両耳にイヤホンで音楽を流す場面と恋人の部屋の窓辺からのシーンは切なく、享受側のシーンとの対比はとても上手く描かれており印象的であった。


遺された者、新たな人生、命をスタートした者。最善の策とは、何が正解で何が間違っているかという問題こそなく、はっきりとしないからこそ難しい問題であり、切なく感じるものである。現実的にいずれ直面する事を感じ取らせてくれ、命の尊厳についても深く考え感じさせられる作品である。