あかあしの足跡

自らの目で見た映画を独断と偏見でぶった斬るブログ!たまに映画以外に漫画も

町田くんの世界

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2019年 ‧ ドラマ/ロマンス ‧ 2時間

人の振り見て我が振り直せと言うがまさに模範解答の様な優しい町田くん。彼のフィルターから見える世界に触れるだけで、今の息苦しいと思う世界に優しい風が吹き込む様な少しだけ優しくなれる様な気がし、人間捨てたもんじゃないと思わせてくれ、ペイ・フォワードの様に誰かにしたかとはいずれ自分に返って来るのだと思わせるような展開と、普通で不器用ながらに頑張る町田くんと彼を取り巻く、人々等も傍からみたら同じ人間であり、1人の力では生きていけず彼の世界に触れ触発され変化していく様子は微笑ましかった。恋愛にもどかしむ主人公とヒロインの姿も初々しく好感が持てた。最後は少しファンタジーでポカーンな展開もあったが、自分も町田くんの世界に巻き込まれたと思えばまぁ、ええやんの心で、GLAYの「HOWEVER」やわらかな風が吹くこの場所で、いま2人ゆっくりと歩き出す~かの町田くんとヒロインを見守りたくなった。いやー!なかなか不思議な青春群像劇。久しぶりに鑑賞後ホンワカさせられた。

ロスト・イン・ラ・マンチャ

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2002年 ‧ ドキュメンタリー ‧ 1時間 33分

製作費50億円、出演はジョニー・デップヴァネッサ・パラディなど豪華極まる。しかしクランク・イン6日目にして、本作は撮影中止に追い込まれてしまった。なぜか?世にメイキング・フィルムは数あれど、史上初の作られなかった映画のメイキング・フィルムとして異彩を放つ、画期的なドキュメンタリー映画

 


映画製作がいかに難しく、そしてこの映画が如何に呪われていたかが記された、ドキュメンタリー作品である。兎に角、テリーギリアムがいかについていなかったか!?題材は「ドン・キホーテを殺した男」の映画であったが、撮影機材は洪水で流されたり、悪天候で撮影はいつまでも出来なかったり。ジョニーと元嫁のヴァネッサ・パラディの夫婦競演が見れるかと思いきや、嫁さんの妊娠が発覚して降板になったりと、全てが悪い方向に傾き頓挫した企画と悲惨なギリアムを見る為の作品であった。因みに、この作品は赤字を少しでも埋めるために公開された作品とされている(笑)

テリーギリアムのドン・キホーテ

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2019年 ‧ ドラマ/ファンタジー ‧ 2時間 13分

自らをドンキホーテと信じる男と、彼に巻き込まれた映画監督の遍歴の旅を描いた物語。


構想30年、企画頓挫9回の末にやっとこさ完成となった。

テリーギリアム待望の今作!数年前に、ジョニーデップとその前妻のバネッサ・パラディの夫婦主演も期待されていた作品であったが色々あって頓挫。詳しくは「ロスト・イン・ラ・マンチャ」で見れるのでそちらで!


いやー!ここ最近の映画で近い作品で言えば、タランティーノのワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドと並ぶくらいに映画って良いなぁと再確認出来る作品でとても良かった。


何より、テリーギリアム監督の彼の独自のクセのある世界観と偏屈な性格と馬鹿馬鹿しいけどどこか芯があり愛おしさが滲み出、この映画を本当に作りたくてしょうがなかった熱意と諦めない精神のたまものの結果といえよう想いがひしひしと伝わって、映画を心から大好きとなんだと感じさせられた。


キャストも主演のドンキホーテを演じたジョナサン・プライスの狂気と迫真に満ちどこか憎めない演技の素晴らしいこと!他、ジョニーデップのかわりを務めたSWのカイロレンで有名な役者、アダム・ドライバーも彼ならでわの味を出してて良かった。


ストーリーも映画プロデューサーで監督のアダム・ドライバーが自らのドンキホーテを題材にした作品を撮り、次第にそれに巻き込まれ白昼夢のかと言ったアンバランスさも上手く物語に落とし込まれ、構想の厚みと最後まで練り込まれた大どんでん返しからの凄味!


原題の「ドンキホーテを殺した男」の意味とラスト思わず、テリーギリアムのニヤリと笑った顔が思い浮かんだのは、彼の手腕と構想と頓挫の果てだからと思わされる世界観の余韻にハマった傑作!


題材のドンキホーテも、キチガイで無鉄砲のクレイジーな童話の主人というイメージや印象が強い部分はあたかも、テリーギリアムの性格や行き方生き様を自分自身を主人公にして取り直したかの様にも思えた作品であった(笑)


ひとつだけ心残りと言えば、やはりこの作品をジョニーデップで見たかったと言うifの念だけが悔やまれる作品でもあり、この作品を見終わった後に「ロスト・イン・ラ・マンチャ」を見ればもっと感慨深い作品になる事は間違いないはずである!

CATS

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2019年 ‧ ドラマ/ファンタジー ‧ 1時間 50分

クソ映画愛好家だからこそ、愛すべき映画だからこそ言えることがある。それがこの映画CATSだ!


最初から最後まで終始置いてきぼり感をくらい、一切感情がいや、どう感情移入していいのかさえ分からずに、死んだ魚の目で( ゚д゚)ポカーンっとトリップしたPVを矢継ぎ早で見せられてる感覚で!


I am GOD'S CHILD 

この腐敗した世界に堕とされた

How do I live on such a field?

こんなもののために生まれたんじゃない

 

ワイはこんな映画を見るために生まれできたわけじゃないと、鬼塚ちひろの月光がBGMで流れこんでくるかの如く


トリップした狂気のクリーチャー共の発情期ですか?この野郎の盛りに盛った世界をたれ流され俺は何を見させられてるんだ?映画を見に来たんだよな!?っと自問自答に苦悩させられ


続々と登場し異彩を放つCATS達に戸惑いを隠しきれずも、人間とはすごいもので苦痛であった序盤から後半になると、あら!不思議この映画に対する精神的、人体的への防衛本能からか免疫システムが働き抗体を作りだしこの映画へと慣れが生まれたのである!!

しかし感動的なシーンでもあの化物姿で歌われるとどうしても、リアルポンキッキを彷彿とさせられるほどのシュールぷりさは久しぶりにクソ映画愛好家の斜め上を行く怪作?問題作であり。素晴らしいとさえワイの心を震わせ


ダメなところ以外ではダンスと歌と映像が豪華という点がある意味化学反応を引き起こし、例えるならば高級食材にとんでもない調味料をドバドバと混ぜ合わせ、焚き火で10時間くらいに放置して真っ黒焦げにしたかのような料理(味の保証はなし)


兎に角、とでもなくぶっ飛んでおり、シラフでは見てはいけない映画と諭させられ、麻薬か酒にドブ漬かりでトリップしてハイになるとちょうどいい塩梅の様な気がし!ここ10年でもお目にかかることが出来るか出来ないか作品であった。賛否あるだろうが、言えるのはこの映画を見た人だけが批判も絶賛も唱えれるという事であり。このレビューを信じるか信じないか見るか見ないかはアナタ次第である!

 

ここまで書いておいてなんだが、本作を否定するつもりは一切なく、逆にクソ映画愛好家としては相当に楽しく観させて貰えたことに感謝している。良くも悪くも見る人を選ぶ作品である。

 

リチャード・ジュエル

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2020年 ‧ ドラマ/クライム ‧ 2時間 11分

爆弾を見つけたことで英雄となったはずの警備員のリチャードジュエルだが、FBIやマスコミの報道により、真逆の犯人の濡れ衣を着させられてしまう実話を生きるレジェンドでMr.アメリカのクリント・イーストウッドがメガホンを撮る。


いやー!終始胸糞と苛立ちを隠せずにはいられなかった。特に正義を夢見心優しく、馬鹿にされても挫けず自分の信念を貫くために生きてきたリチャードジュエルとは裏腹に、裏工作やどんな手を使ってでもどうにかして犯人に仕立ててやろうとするFBIやネタの為なら、一般人のプライバシー等知ったことではないと言ったマスコミの態度にまーむかっ腹が立って仕方がなかった!


本当、このへんは普通の映画ならFBIやマスコミなんかを絶対悪としてはあまり描かないはずなのに、どストレートで描いてしまい、観てる観客側にその感情を上手いこと植え込むことを意識した脚本と魅せ方はもう流石、クリント・イーストウッド節炸裂と言ったところだ!


唯一の昔からの知り合いの弁護士のワトソン演じるサム・ロックウェルとの関係もよく、相変わらずのサム・ロックウェル口調からなる力強い演技も見もので唯一彼だけが、我々の思っている言葉をむかっ腹立つFBIやマスコミに意見し叩きつけてくれたところはスカッとしたものだ!…それなのに、サムロックウェルがワイの中で予告編ではクリスチャン・ベイルだなこの役者の頭で観てて終わった後にエンドロールでハッとさせられた!?ゴメンよサム・ロックウェル<(_ _)>💦


テーマも、今の時代にマッチしたSNSやネットメディアが日常生活で当たり前となった世界で、何処でも起こりうる炎上や普通の人から被害者になりうる現代社会への意味でも一石を投じる意味のある。明日は我が身かもしれない感じさせられる作品であった。

ラストレター

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2020年 ‧ ロマンス ‧ 2時間

初恋の人と再会したヒロイン、ヒロインを彼女の姉と誤解した小説家、母に送られる小説家からの手紙に返信を書く娘の、心の再生と成長が描かれる。


SNSが盛んとなった現在。手書きの手紙で描かれるロマンスに書き手と読み手の心情や情緒さの良さをLINEや電子メールが当たり前となった今だからこそ感じさせられた。


タイトルのラストレターに込められた意味、時を越えて繋がる過去と現在。そして未来へと託される想いがほのかに過去からの痛みを和らげてくれ再生の道へと歩み出す。


相変わらずの岩井俊二監督ワールドは青臭さというか、主人公はいいオッサンの話なのに何故だか尊く切なくそして愛おしく感じさせるれるのは、岩井俊二ならではの唯一無二の魅力だ。


この人の作品を見てしまうと最近の恋愛映画や少女漫画を原作にした作品悪くはないのだが、明らかに浮き彫り差が歴然とわかってしまう。


映像や曲も透明感と独自の美しさを纏い合わせ、ヒロインの広瀬すずや妹を演じた森七菜や大人となった姿を演じた。松たか子福山雅治との距離感も上手く捉えており、特にヒロインの広瀬すずは相変わらずの透明感と儚さを併せ持って勿論良かったが、個人的に妹役と主題歌を歌った森七菜の純朴さと天真爛漫さが溢れ出てており、今後が楽しみな女優さんの1人としても自分の中のリストにピックアップされた(笑)


1995年の岩井俊二監督作品のラブレターからの様々な設定やオマージュや中山美穂豊川悦司も出演しており、ラブレターを見るとより一層、想いれ感慨深く見れることは間違いない作品である。

ジョジョ・ラビット

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2020年 ‧ ドラマ/コメディー・ドラマ ‧ 1時間 49分

第2次世界大戦下のドイツを舞台に描くヒューマンドラマ。ヒトラーを空想上の友人に持つ少年の日常をシニカルコミカルに映し出す。


JOKERと同時期にトロント国際映画祭で観客賞を取った時に、先ずストーリーから、これは見たいと期待していた作品!


10歳の主人公ジョジョの目を通し戦争と人間の本来の在り方を考えさせられた気がした。戦争ものなら普通は重く悲しいテーマやストーリーになるところなのだが、監督は「シェアハウスウィズバンパイア」「マイティ・ソー バトルロイヤル」等で独自の世界観とユーモラスを得意とする。タイカ・ワイティティ監督ならでわの手腕がピカイチに光っており!頭から妄想の親友ヒトラーと対話するシーンは、かなりぶっ飛んで!しかもヒトラーを監督自身で演じてるから尚面白い(笑)


ユダヤ人に対するかなーり濃いめのブラックコーヒー並のジョーク💦やなんかも目立って、バックではビートルズの曲が流れたりと時代背景を感じさせないところも、また斬新で冒頭から前半は脳内麻薬か葉っぱやってるんじゃないかと言うような勢いから、ユダヤ人の女の子や母親との関係、特にスカーレット・ヨハンソン演じる母親にはベストマザー賞があるなら贈りたいほど一人の母、そして父親代わりと息子を愛する気持ちがとてもよく表されて良かった。


ジョジョの子供なら誰しも幼少期の妄想に狂うかのようなナチ狂から本来の心優しい子供という一時の成長を微笑ましくも切なくユーモラスに描きラストあたりはウルっと来てしまったが、そこは泣かさず気持ちいい締め方で終わらせてくれたタイカ・ワイティティ監督の才能とセンスを感じざる得なかった。タイトルともなっている、ジョジョラビット、冒頭でヒトラージョジョに言った言葉もラストでは対になって愉快痛快で本当に気持ちのいい作品であった。

 

 


どんなに悲しみを背負っていたとしても、自分を支えてくれる物、自分を包んでくれた人や思い出、心を寄せる宿り木になれる場所があるから人は前へ歩き出せる。一歩一歩踏みしめて歩いていく事ができる。